横須賀功光の写真の魔術「光と鬼」

anotherwork2005-12-06

横須賀功光の写真の魔術「光と鬼」    

横須賀功光の写真は魔術的だと言われる。たしかにその作品は、被写体そのものよりも、その被写体が内奥に秘めているものを暴き出しているようだ。幻想的で、ミステリアス、そして何よりも彼の作品にはエネルギッシュな生の躍動感がある。

私たちは彼の作品に触れれば触れるほど、現実を超えた世界に導かれていく。ときに暗く、混沌とした、途方もない無限の広がりの中に、私たちは突然放りlこまれていく。そして、ざらりとして冷たく、どこか途方もないほど不安で孤独な感触を味わうのだ。

しかし一方で、私たちは彼の作品から生み出される力強いエネルギーに圧倒される。現実という壁をつきぬけて、限りなく世界を創造しようとする飽くなき魂に、私たちはただひたすら翻弄されてしまう。


横須賀功光はいったい何を追い求めていたのだろうか。無限に広がりゆくその作品のバリエーションは、もはや私たちがとうてい理解できない領域に向かっていたように思える。もしかしたら、彼の魂は今なお現実と非現実との垣根を越えて、遠く宇宙の果てに向かってさまよい続けているのかもしれない。