2005-01-01から1年間の記事一覧

答えはない

私たちは小さい頃から答えがあることに慣らされている。だから、ついつい問いには必ず答えがあり、その絶対的に正しい答えを出さなければいけないと思ってしまう。だが、「答えが必ずある」などということは、すぐに幻想的な神話に過ぎないことを思い知るだ…

ポビーとディンガン

ポビーとディンガン 恵比寿ガーデンシネマ妹のケリーアンにはポビーとディンガンという友人がいる。だが、実物は誰にも見えないので、ケリーアンは周囲から「空想好きの少女」とみなされてしまう、、、、、、。そんなケリーアンの姿を観ていてむしょうに切な…

横須賀功光の写真の魔術「光と鬼」

横須賀功光の写真の魔術「光と鬼」 横須賀功光の写真は魔術的だと言われる。たしかにその作品は、被写体そのものよりも、その被写体が内奥に秘めているものを暴き出しているようだ。幻想的で、ミステリアス、そして何よりも彼の作品にはエネルギッシュな生の…

アウグスト・ザンダー展

アウグスト・ザンダー展 東京国立近代美術館ここに展示されている作品「時代の顔」は、もともとは作品「20世紀の人間」のための予告編になるはずのものだった。しかし、その後予定してした「20世紀の人間」は、最終章となるはずだった「最後の人々」が完成せ…

ドイツ写真の現在

「ドイツ写真の現在― かわりゆく「現実」と向かいあうために」1989年秋にベルリンの壁が崩壊し東西が再統一されて以来、ドイツは今までにない変革期を迎えた。それまで、行き交うことがなかった西側の民主主義文化と東側の社会主義文化が融合し、全く新しい…

「出会い」と「別れ」

人と人との「出会い」というものは、じつに不思議なものだ。こちらが求めているときには誰も現れてくれなかったり、反対に何も求めていないときに誰かが現れたりする。そして縁あって出会った人たちとも、こちらが望んでいてももほんの短い時間で途切れてし…

杉本博司 時間の終わり

一番感動的だったのは、海の風景シリーズだった。とくになんということもない海なんだけれど、見つめていると、とても懐かしい感じがした。何か遠い昔の記憶のどこかにしまわれていたものが、突然目の前に現れたような、そんな感じだ。杉本博司はこの写真を…

イエス・アイ・ビリーヴ

以前、青山にある小さなギャラリーに行ったとき、偶然オノ・ヨーコの作品をみかけた。その作品は真っ白な背景に「I LOVE U」と彫られ、その文字は赤を貴重にさまざまな色が混沌と織り交ぜられていた。「愛」というものをテーマにするのなら、ふつうはもっと…